viel lärm um nichts /béatrice et bénédict (Berlioz) Premiere ベルリオーズ「から騒ぎ(ベアトリスとベネディクト)」初日

2013年2月16日(土)は、とうとうベルリオーズ組の初日だった。

 

昼過ぎ頃、随分久しぶりに親友(音大で一緒にコレペティを勉強した)と電話。

近々、バイロイトの合唱団の伴奏があるので、その際、そこから比較的近くなるレーゲンスブルク(彼女の実家)かまたはミュンヘンの彼女宅で会いたいね、と話した。

その後、街に出て、友人でメッツォのバオ宅で彼女の弟子のチェンの伴奏。そして、一度家へ帰り着替えて劇場へ出直した。

 

いよいよ初日。劇場で会う人会う人の顔がはっきりと高揚しているようだった。関係者ら皆、抱擁し合ってはTOI TOI TOIの言葉を掛けていた(本番前のおまじない)。演出のガビさんもシックな黒いスーツで立っていて、私を見るとオー、ユキコ!と言い、私達も抱き合った。・・・長い長い稽古だった、特に歌の人達にとっては。ガビさんはアイディアが定まるまで妥協せず、気に入らなかったり、更に良い案があったりすると、今までの演出をすっかりオジャンにするのも気にしなかった。根っからの芸術家なんだと思う。だから、稽古はやり直しや待たされたりの繰り返しで、皆、終わりの頃はすっかり疲れ切っていた。もしかしたら演劇の人達にはそういう稽古は結構普通なのかも知れない。でも、歌の人達は演技以外に歌もあるし、演出がそうコロコロ変わったり、なかなか決まらないのには慣れてない。・・・ただ、ガビさんの人柄は本当に素敵だった。例えば、演出家には、コレペティの存在すら意識してくれない人も多いけれど、彼女はよくニッコリ挨拶してくれた。何かあると「ありがとう」の言葉も自然に出てくる人だった。・・・あのウルリカ宅でのパーティーで情熱的に踊っていた姿も忘れられない。皆も、ブツブツ言いながらも、「あの人、人はいいんだけどね。」「いい人だよね」と言っていた。

 

私の席は前から11番目だった。隣には顔見知りの女性が座り、私達また隣同士ね、と言って笑った(確かレベッカ?)。PR(プレス)部で働いているらしい。シーズンが始まる際の顔合わせで新顔として名前が呼ばれた際も隣合わせだった。このプログラムは私も作ったのよ、と言っていた。その彼女と並んで、さあ始まる、と息を呑んだ。

・・・軽やかな序曲でコミック・オペラがスタート。数えきれない風船で舞台が飾られている。色とりどりの衣装はまるで現在からは別世界。隣の彼女も私も、そして観客も、笑いが絶えなかった。演技やディアログ(会話)が生き生きしてて、表情豊かで素晴らしい。その辺中にガビのユーモアが溢れているのを感じた。コスチュームが非現実感を醸し出すのに対して、会話の生き生き感は現代のものと変わらず、そのギャップがとても面白かった。コーラスの人達が見事に舞台の上で「群集」になっていた。音楽もコミカル、メランコリー、情熱とさまざまな感情や状況を軽やかに描き出していて、楽しめた。・・・ガビさんに、舞台のみんなに、そしてオケに、指揮者に・・・大きな拍手~。

 

その後、プレミエ(初日)パーティに顔を出した。次の日から1週間は冬休みなので、皆特に羽根を伸ばしている様子だった。私も、「そろそろ帰るね」と言っては、また次の角で人に出会い、話し込む、と言った具合で、とうとう、帰宅したのは夜の2時(笑)。

皆、お疲れ様。素敵な冬休みを。また、次の公演まで・・・。

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